2022年10月26日(水)に福島県南部に行く用事があり、その日は事前の予定どおり湯野上温泉(ゆのかみおんせん)で一泊した。宿泊したのは美加登屋(みかどや)という温泉民宿。浴室のすぐ隣を会津鉄道会津線(あいづてつどうあいづせん)が走っている。
翌日27日(木)は朝7時頃に朝食を食べ、8時過ぎには美加登屋を後にした。以前から私は中ノ沢温泉(なかのさわおんせん)と土湯温泉郷(つちゆおんせんきょう)に興味がったので、この日は会津若松市経由でその2つの温泉に寄ってみることにした。
私はカーナビゲーションを頼りにすることにしたが、湯野上温泉から会津若松市へは国道121号線を北上するだけであった。この日の朝は寒く、車の温度計は約3度を指していた。国道121号線は阿賀川(あががわ)に沿いながら会津若松市へ向かっており、その川沿いや山々の少し霧の立ち込めた朝の風景は大変美しかった。
会津若松市の市内に入り、鶴ヶ城(つるがじょう、若松城とも呼ばれる)の横を通り過ぎた。会津若松市に来たのは中学3年の修学旅行以来で、約35年ぶりになる。国道121号線から国道49号線に移り、そして県道64号線に移った。シグマ会津工場の近くで県道7号線に入った。私はシグマのデジタル一眼レフ用のレンズを使用することが多く、このブログの写真もシグマのレンズで撮影している。
あらためてブログ執筆時にインターネットで地図を確認すると、県道7号線は猪苗代塩川線(いなわしろしおかわせん)という名称を付けるのが正式であるようだ。県道7号猪苗代塩川線から国道115号線に移り、しばらくすると中ノ沢温泉に着いた。中ノ沢温泉へは、国道115号線から県道24号線に入って5分程度車を走らせた。時刻は10時になろうとするところだった。
中ノ沢温泉
中ノ沢温泉は県道24号線沿いに温泉旅館が並ぶ、どちらかというと小規模な温泉街だった。私は中ノ沢系こけしの工房訪問を目的としていたのだが、中ノ沢温泉旅館案内所で聞いてみると、中ノ沢系こけしの工房は中ノ沢温泉には位置していないのが分かった。私の中ノ沢系こけしの工房訪問という目的はそれほど強いものではなかったので、この日は訪問を諦め、2つ目の目的地である土湯温泉郷に向かうことにした。中ノ沢温泉に滞在したのは約40分程度だった。朝の10時過ぎということもあり、中ノ沢温泉では湯に入ることはしなかった。
東吾妻山と吾妻小富士
土湯温泉郷へは国道115号線(土湯バイパス)を進むだけであった。東鴉川トンネル(ひがしからすがわとんねる)の手前まで来るとカーナビゲーションに従って脇道に入った。私の車は2006年製造のやや古いモデルで、搭載されているカーナビゲーションも同様である。おそらく2006年の時点では土湯バイパスは未だ完成していなかったため、脇道に入るルートを選んだようだった。この脇道というのは国道115号線の旧道のようで、かなりの山道であった。
この山道は秋の木々に覆われており、まるで紅葉の回廊のようであった。私は車を走らせながら、「紅葉の回廊のようだ」と実際に思った。私の車は大型のステーションワゴンであるため、もし対向車とすれ違うことがあれば大変神経を使うことになったはずであるが、幸いにその機会は1回のみであった。
この山道の途中で秋の木々が途切れる場所があり、東吾妻山(ひがしあづまやま)と吾妻小富士(あづまこふじ)が一望できた。そのときの気温は7度程度まで上がっていた。吾妻小富士から小さな白い噴煙が立ち上っているのが見えた。木々の葉は徐々に紅葉の度合いを深めていた。細い山道をどのくらい下って行くのか多少不安であったが、10分程度車を走らせると土湯バイパスに戻ることができた。そこから土湯温泉郷までは僅かの距離で、11時30分頃に土湯温泉郷に着いた。
土湯温泉郷
土湯温泉郷の第一印象は、想像していたより温泉街の規模が大きいことであった。私はどちらかというと小規模な温泉街を想像していた。例えば宮城県の鎌先温泉ぐらいを頭に描いていたが、鎌先温泉よりずっと規模が大きかった。ただ、同じ宮城県の秋保温泉郷や鳴子温泉郷の規模とは比較できない。そして中心を流れる荒川(あらがわ)の両岸に、割と近代的な温泉宿が立ち並んでいるのも想像と違った。私は民宿よりはホテル的な施設を好むので、想像と違った土湯温泉郷は好印象であった。
土湯温泉郷でも土湯系こけしの工房を訪問してもよかったのだが、この日の私の目的意識はやはりそこまで強いものではなく、土湯温泉観光協会で土湯こけし工人組合所属のこけし工人名鑑を入手することで目的達成とした。後日、この名鑑の情報を頼りに工人に連絡をするこになると思う。土湯温泉郷では「公衆浴場 中之湯」で湯に浸かることにした。この公衆浴場はできてからそれほど年月は経っていないような印象だった。新しい施設は嫌いではないが、浴室は無機質、無表情な作りで、やや残念であった。露天風呂も小さく壁に覆われており、開放感には欠けるものであった。お湯は加水するぐらい温度が高いようである。入浴料は500円とリーズナブルではあった。
この日は入浴後はすぐに土湯温泉郷を後にしたが、再び訪れたいと思った。国道115号線を福島市内に向かい、西福島インターチェンジから東北自動車道に乗り、一路仙台への帰宅の途についた。