2019年5月3日(金)〜5月5日(日)の期間で開催された「第61回全日本こけしコンクール」にいってきました。
全日本こけしコンクールは、1959(昭和34)年から開催されていて、日本で最大規模のこけしの祭典の1つです。このコンクールでは、こけし作家がコンクールに応募したこけしそのものを購入することができます。上位入賞作品は寄贈品となり、また非売品もあるので応募作品全てが購入対象となる訳ではありませんが、作家の応募作品を購入できるのはこのコンクールの魅力の1つです。
このコンクールでは約60の賞が用意されていて、最高賞は内閣総理大臣賞です。今年の最高賞は肘折系の鈴木 征一工人が受賞しました。会場ではコンクール以外にも、伝統こけしの実演販売、こけしの絵付け体験、白石市地場産品まつりなどがおこなわれていました。
私はイベント初日の5月3日の13時頃に、会場である宮城県白石市の多目的ホールであるホワイトキューブ(White CUBE)を訪れました。仙台市の中心部から会場までは、東北自動車道の仙台宮城インターから白石インターを通って約1時間ぐらいですが、この日はゴールデンウィーク期間のため東北自動車道が混んでいて、いつもより数十分ほど余計に時間がかかってしまいました。
今年はコンクール会場の手前が販売用のスペースとなっていて、20店舗ほどが出店していました。そのうちの1店舗を知り合いのこけし工人が出店していました。そのこけし工人によると、今年は昨年と比較すると来場者数は少な目ではないかとのことでした。それでもコンクール応募作品のこけしや木地玩具などの多くは予約済みとなっていました。このコンクールで気に入った作品を購入するには、開場時には入場の列に並んでいないと難しいのではと想像します。
私が住んでいる宮城県は伝統こけし11系統のうち4系統(鳴子系、作並系、遠刈田系、弥治郎系)があり、宮城伝統こけしとして伝統的工芸品の認定を受けています。伝統こけしは全日本こけしコンクールでは第1部という部門に分けられています。このコンクールでは、その他にも下記の部門があります(第61回全日本こけしコンクール開催要綱より)。
- 第1部 伝統こけし(系統的な伝統性があり師弟関係が明確であるものかつ、その工人が製作した本人型も含む)
- 第2部 新型こけし(量産可能で市場性のあるもの)
- 第3部 創作こけし(一品製作芸術的価値のあるもの)
- 第4部 木地玩具(ロクロ技術を主体とした玩具)
- 第5部 応用木製品(ロクロ技術を主体とした日常生活用品や木製品)
最高賞である内閣総理大臣賞を受賞した鈴木 征一工人の肘折系のこけしも、第1部の伝統こけしの部門です。私は地元の宮城県や東北の伝統こけしだけではなく、第2部の新型こけしや第4部の木地玩具にも興味をもっていて、特に群馬県で作られている新型こけしは品質がとても高いと感じています。
群馬県の新型こけしの中で、卯三郎こけし(ウサブロウコケシ)の岡本 弘行工人のこけしは、デザインの良さ、仕上げの丁寧さが特徴です。焼き絵という技法が多用されていて、東北の伝統こけしにはない特徴です。
第4部の木地玩具では、阿部 進矢工人の作品が素朴で、また独特の魅力があって惹かれるものを感じました。このように全日本こけしコンクールは、応募の部門の幅が広いことも特徴の1つになっています。全日本こけしコンクールは毎年ゴールデンウィーク期間中、5月3日〜5日の日程で開催されます。